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KUSURIYA | |||
原作(Original Story): 日向夏×倉田三ノ路![]() 薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜第91話ネタバレ | |||
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薬屋のひとりごと 第91話![]() | |||
サブタイトル | 聡い子 | ||
サンデーGX | 2025年8月号 | ||
配信日 | 2025年7月18日 | ||
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 壬氏(ジンシ) 高順(ガオシュン) 阿多(アードゥオ) 翠苓(スイレイ) 子翠(シスイ) 深緑(シェンリュ) 趙迂(チョウウ) | ||
第91話 聡い子『元四夫人・阿多のもとで庇護されている翠苓。図録は一体どこに…?』 阿多「私も同席するが気にせず進めてくれ」 猫猫「では失礼いたします (気にせずと言われても気になるけど…このまま話すしかないか) これに見覚えありませんか?」 翠苓「…師が使っていたものです」 猫猫「これで全部ですか?」 翠苓「いや、一冊足りません。確か十五冊あったはずです」 猫猫「残り一冊がどこにあるか分かりますか?」 翠苓「分かりません」 猫猫「(嘘ではなさそうだ。そもそも嘘つく理由がない。翠苓は先帝の孫であり、子一族の血縁でもある。だが今更表に出すわけにもいかず、飼い殺しの人生しか残されていないだろう。これからどうするつもりなのか、主上が何を考えているか分からないが、薬師として優秀な彼女を埋もれさせるのはもったいないと思う。そして彼女を育てた“師”も)…ではあなたの師は今どこに?」 翠苓「……!」 猫猫「やはり生きているのですね。あなたも使った蘇りの薬…それを自らで試して」 翠苓「……その通りです。でなければあの砦から出ることは出来なかったでしょう。けれど、知りたいことは聞き出せないと思います」 猫猫「どういうことですか?」 翠苓「響迂、いえ今の名は趙迂でしたか。記憶を失い、半身に麻痺が残ったあの子を見ていて想像がつきませんか」 猫猫「古い記憶をなくしたとでも?」 翠苓「少し違いますがそんなところです。知らずにすれ違っていたかもしれませんね。温泉郷があったでしょう。そこにいた寝たきりの老人の一人が私の師です」 猫猫「(あの温泉郷は湯治場として利用されていた。そんな老人は何人もいたはずだ。そこに紛れさせて神美の目をごまかしていたのか)」 翠苓「すでに自分が何者かも忘れています。もし師が健在であれば、あの子(子翠)もあなたを事件に巻き込もうなんて考えなかったはずです」 猫猫「(きっと翠苓は気付いている。子翠が事を起こしたのは、父と共にこの国の膿を出したかったと同時に姉を母親から解放したかったのだと。翠苓の師が健在なら、わざわざ私を連れて北に行くことはなかった。蘇った子どもたちの世話を師に任せれば済むからだ。ようやく手掛かりをつかんだと思ったのに…) では、その師が研究してた蝗について何か知りませんか?」 翠苓「私はその研究に関与していません。私は虫が苦手で…虫はあの子(子翠)の領分だったので」 猫猫「(そうか…そしてあの子はもういない)」 翠苓「師が不死の薬を作れと命じられた際、他の研究に関する資料はほぼ処分されました。持ってこられたのはあの部屋にあったものくらいです」 猫猫「(それでも続けようとして左膳を通じていろいろ調べていたのか…なるほどねえ)」 阿多「“あの子”はとても聡い子だったようだね」 翠苓「いくら聡い子でももういません」 阿多「そんな聡い子ならどうにか何か残そうとしそうだけどねぇ」 「!!」 翠苓「も、申し訳ございません」 阿多「いいよ、もっと気楽にして。ほら、そんなこと気にせず考え込んでるじゃないか」 猫猫「(なんだ…子翠が何か残してた?そんな風に思ったことが前にあったような…砦?いやもっと前…後宮…医局…診療所) 診療所!診療所です!(子翠ってやつは本当に…本当に抜け目ないやつ)」 『診療所は一度閉鎖されたという。特に深緑という女官の罪は重く、自殺を図り、一命は取り留めたものの罪人として捕まえられている。しかし診療所は後宮になくてはならない存在だ。宦官の監視の元、閉鎖は解かれているらしい』 壬氏「お前がさらわれた際に診療所にあったものはすべて没収された。その中にあった…これでいいんだな?」 【昆虫圖鑑 参】 猫猫「これですね」 壬氏「これは…すべて飛蝗の絵か」 猫猫「そうですね。書き込みによると、大きく二つ、細かくすれば三つに分類できるそうです。そちらが普段見られる飛蝗のようですね。緑色で、他の二つより翅に対して身体が大きく見えます。そして今年増えると言われているのはこちらの身体の小さな飛蝗です。蝗害を起こすのはこちらのようです」 壬氏「ふむ…色も緑から茶になっているな」 猫猫「そして昨年、小規模の蝗害を起こしたのは、二つの中間にあたるこちらのものかと」 壬氏「つまり段階を経て茶の飛蝗になるというわけか」 猫猫「そのようですね (飛蝗はある条件が揃うと体色や翅の色を変えていく。変化には数世代かかり、その度に数を増やすようだ。数が増えるから形を変えるのか、形が変わるから数が増えるのか…どちらかといえば前者が原因だと図録には書かれている) 小規模の蝗害は大規模な害の前触れのようです」 壬氏「つまり…今年はもっと大きな蝗害が起きるというわけか」 猫猫「ええ、どれほどの害になるかは分かりませんが…(予想は難しい…が、判断を誤ると餓死者が出るのが蝗害だ。時に空を覆い、あらゆる穀物を食らい尽くし、壁や草鞋すら食う。農村から花街に売られてきた女の中には蝗害で食うに食えず売られた娘も多い。時期も悪い。子一族の乱で一族が滅んだ話は国中に伝わっている。“子一族の祟り”、“主上の不徳”のせいで起きたと言う者も出てくるだろう)」 壬氏「書いてないか?防ぐ方法を」 猫猫「あるいは特効薬になるもの…ですね」 猫猫「……ないですね。小規模の害が出たら次の害が出るまでに対処せよと書かれていますが、幼虫のうちに駆除するという人海戦術のようなものです。殺虫剤の製法は書かれていますね。成虫になったらかがり火を焚くともありますが…」 壬氏「古くからある対処法だな」 猫猫「…大した情報は得られませんでした」 壬氏「いや、知らずに放置していたら大変なことになっていた。殺虫剤の製法が分れば、今のうちに材料を揃えられる。これが今、蝗害が起きている地域を示した地図だ。これでなにか分かることはないか?」 猫猫「と言われましても…蝗害は広大な草原に多いことくらいしか分かりませんよ」 壬氏「この辺りではもう数十年、蝗害の知らせはなかったんだがな」 猫猫「森、ですか」 猫猫「森が近ければ鳥が虫を食べると思うのですが」 壬氏「それがな…子北洲は森林豊かな地域なんだが、このあたりはすでにはげ山になっていたらしい。先帝の時代にはむやみな伐採を禁じていたんだが、先帝の崩御後、勝手に伐採したらしい」 猫猫「(先帝の時代…ということは実質的には女帝が禁じていたのか) それって…そのせいで鳥がいなくなったから飛蝗が増えた?」 壬氏「十分考えられるな。子北洲の森林資源には期待してたんだが…」 猫猫「(ああ…穀物が取れない穴埋めに木材を売ってその益で食料を買い付けようとしていたのか) その本の調合のみでは材料が足りなくなるかもしれません。念のため他の調合も用意します。いっそ幼虫が発生した場所を野焼きしたらだめでしょうか?」 壬氏「場所によるな」 猫猫「あとは…雀の禁猟くらいでしょうか」 壬氏「雀は一般的な食料だからな…いきなりやると反発が出そうだ。代わりになるものがあればいいが」 猫猫「いっそ飛蝗料理を宮廷で出すとか…そうすれば飛蝗は宮廷御用達の食材になり、捕まろうとする者も増えますし、宮中だけでなく、いずれ民の中でも…」 壬氏「それは最終手段でいいだろうか…」 高順「発生する前にたたければそれが一番ですし、ええ」 猫猫「(名案だと思ったのに。それほどまでに飛蝗を食べたくないのか…) あの壬氏さま。お食事をして帰られてはいかがでしょうか?」 『なんて悪い顔!次号、壬氏の危機!?』 ≫関連記事:薬屋のひとりごと ビッグガンガン版 最新話 | |||
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