黒執事 | 第216話『その執事、勘定』ネタバレ | Black Butler

Kuroshitsuji
原作(Original Story): 枢やな(Yana Toboso)
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黒執事 第216話

黒執事 漫画 216話 扉絵 セバスチャン Black Butler Chapter 216
配信日2025年6月18日
サブタイトルその執事、勘定
Gファンタジー2025年7月号
扉絵セバスチャン・ミカエリス
登場人物シエル・ファントムハイヴ
セバスチャン・ミカエリス
モドリ・ヴラディス
ロドニー・ホール

第216話 その執事、勘定

『客室係(ロドニー)に手当てをされる客(モドリ)』
モドリ「なぜ止めた!」
ロドニー「ヴラディス様、一般のお客様がいらっしゃる場で粗暴なふるまいはご遠慮ください。ネクタルスプリングスはプロのおもてなしですべてのゲストを癒やす楽園…あなたの傷もこのホテルで癒されますように…どうぞごゆっくりお過ごしください」
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『ホテルロビー シエル&セバスチャン』
シエル「セバスチャン、このホテルの客室数はどれくらいだと思う?」
セバスチャン「客室数…ですか?そうですね…数えてみないことに正確な数字はわかりませんが、敷地面積とフロアの数からすると…今夏ロンドンにオープンした“サヴォイ・ホテル”と同等か、ネクタルスプリングスの方かがやや小規模な印象です。サヴォイ・ホテルは約260室の客室を有いていると新聞が報じていたと記憶しています」
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シエル「だとすればやはりおかしい」
セバスチャン「…と申されますと?」
シエル「お前達が集めたネクタルスプリングスで保養中と噂される貴族やジェントリの情報…その数は150をくだらない。ほんの数日の調査でその数だ。ならば実際の客数はもっと多いに決まってる。さらに保護地を訪ねる連中のほとんどは家族連れ。そして使用人を帯同する」
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セバスチャン「富裕層の旅行はキャラバンと揶揄される程、大所帯になる事もありますしね」
シエル「さっきの客室係の言葉を信じるなら、使用人にも控室ではなく客室があてがわれている。となると…1家族に3~4部屋は必要になるだろう。つまり低く見積もっても450室以上必要になる」
セバスチャン「600の部屋を擁するヨーロッパでも最大級のグランドホテル、“ザ・ランガム・ロンドン”…そこでも入り切るかどうかですね」
シエル「セバスチャン、まずはこのホテルの正確な客室数を調べろ。僕が感じる違和感…ここから奴らの狙いへ近づけるかもしれない」
セバスチャン「は、すぐに。では私が戻るまであちらのラウンジでお待ちいただけますか?」
シエル「ラウンジ?なぜわざわざ?お前なら5分とかからず数え終わるだろう」
セバスチャン「貴婦人方のお喋りは時に極めて実用的な情報源となります。ぼんやり私を待つ時間を有効にお使いください坊ちゃん。では行って参ります」
『ラウンジ』
シエル「ダージリンを」
ウェイター「かしこまりました」
「ねえ奥様、ご存知?このホテルの地下にあるスパ」
「もちろん!それが目当てできたのよ」
「私はもう予約済み。心も体も若返るってお茶会に行くとみんな噂してて」
「ゆっくり蒸気を浴びている間、子供達はメリーオーシャン・ピアに放り込んでおけばいい」
「アクアリウムにはスケート場があるし、ロイヤル・パビリオンも見応えがある。遊ぶ場所には困らないわね」
「カントリーハウスでロングギャラリーを歩き回るだけの冬にはもううんざり」
「サヴォイも結構だけど、ここは海が近くて静か。空気が違うって義母も上機嫌よ」
「ええ、本当に」
「楽園とはこのことだわ」
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セバスチャン「お待たせ致しました坊ちゃん。このホテルの客室数は…300室です」
シエル「やはり…ゲストの数に対し客室数が少なすぎる」
セバスチャン「我々が得ている情報と宿泊台帳を照らし合わせ未滞在者を確認したいところですが…」
シエル「見せろと言われて見せるわけがないだろう。別の保養地に移った者もいるだろうが…」
セバスチャン「ホテル側が溢れた客を別のホテルに誘導している可能性もありますね。スフィア・ミュージックホールがバースの施設に人を送っていたようにう」
シエル「…とにかくここに便利な情報屋はいない。僕らで地道に情報を集めるしかないな。ご婦人方の話によれば、宿泊者の多くはメリーオーシャン・ピア、アクアリウム、ロイヤル・パビリオン…などで時間を潰しているようだ。ホテル内が客でごった返している時間帯にまた奴と鉢合わせて騒ぎになるのも避けたい。喫煙室が開くのは夜。それまでは外に調査に行くとしよう」
セバスチャン「御意」
ウェイター「あの…お茶…」
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『ホテルの外』
シエル「本当に海の上に遊園地が建っている」
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セバスチャン「遊歩道を歩いて景色を楽しむウェスト・ピアと違い、こちらは移動遊園地(トラベリング・フェア)のような作りですね」
「精霊エアリアルよ!嵐を起こし、船を沈めるのだ!」
「御主人様、私は命令に従います。いつになったら私に自由を与えてくれるのですか?」
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セバスチャン「巡業劇団でしょうか」
シエル「ふうん?貴族連中は低俗な興行に子供を近づけたがらないものだが…演目はシェイクスピアの“テンペスト”か」
『テンペスト。劇作家、ウィリアム・シェイクスピアによるロマンス劇。かつてミラノ大公だった魔術師プロスペローは弟の裏切りにより、娘とともに孤島に流される。島で精霊エアリアルや怪物キャリバンなどを従えたプロスペローは復讐のため聖霊に嵐を起こさせ、自らを追放した者達を島に呼び寄せる…』
セバスチャン「兄弟に裏切られ追放された者が地位の奪還と復讐を誓う…どこかで聞いた事のある話です。プロスペローに扱き使われるエアリアルには同情を禁じえませんねぇ」
シエル「…エアリアルはどこかの悪魔と違って、過去の不祥事で主人の手を煩わせたりしないがな」
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セバスチャン「コヴェント・ガーデンで上演されるような古典のセリフや演出を子供向けに焼き直しているようですね」
シエル「ホテルを利用する客層に合わせているわけか…シェイクスピアなら“パンチとジュディ”より保護者ウケもいい。なかなか考えているな」
※パンチとジュディ:人形劇。残酷で荒唐無稽な喜劇が人気を博した。
シエル「最新式の電動カルーセルやコースター、ストリート・パフォーマンスに出店…確かに子供なら一日飽きずに遊んでいられそうだ」
セバスチャン「折角ですし坊ちゃんも回転木馬などに乗っていかれては?」
シエル「誰か💢」
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シエル「いつまでも子供だましを見ていても仕方ない。次に行くぞ」
セバスチャン「かしこまりました」
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『出逢い、すれ違う。8月号に続く。7月18日金曜発売』
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