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原作(Original Story): 日向夏×倉田三ノ路![]() 薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜第89話ネタバレ | |||
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薬屋のひとりごと 第89話 | |||
サブタイトル | 麺麭(パン)がなければ | ||
サンデーGX | 2025年6月号 | ||
配信日 | 2025年5月19日 | ||
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 響迂(キョウウ) 右叫(ウキョウ) | ||
第89話 麺麭(パン)がなければ『見るからに金をもっていなそうな中年の男』 「薬屋!今すぐ来てくれ!娘たちを診てやってくれ!」 猫猫「(なんでウチに来るんだ。おやじが生半可に情けでもかけたんだろうな) 払う金はあるのか?」 「お前薬屋だろう!?見捨てる気か!?」 猫猫「薬屋だよ。店なんだから金はもらう」 「貧乏人から金をとる気か!いつものじいさんなら薬をくれたぞ」 猫猫「(やっぱり) いつものじいさんは出稼ぎだ。金がねえなら帰んな。お前らみたいなのが集まるからこんなボロ家に住んでんだ」 「頼む…いつか金なら払うから…子どもが病気なんだ…」 猫猫「ほら証文だ。ここに署名しな」 「なんて書いてあるんだ」 猫猫「“必ず薬代を支払います”って。名前が書けないなら親指だけでいい。判を押しな」 「これでいいのか?」 猫猫「仕方ねえ」 趙迂「なんか、そばかすの方が悪人みてぇ…いてっ」 右叫「ついてこいと言われたから来たが、なんでこんなところに」 猫猫「わるいね右叫。面倒だけど仕方なくてさ」 右叫「なんだかんだおやじさん似だな」 父「薬屋連れてきたぞ」 娘「父ちゃん」 父「この子だ。診てやってくれ」 猫猫「(排泄物の匂いがする。垂れ流しか)」 猫猫「いつからこうなった?」 父「数日前だ。手を気にしていたのはそれより前だが…おい!なんだそれは!?うちの娘をなんだと」 猫猫「はあ?こいつは病気なんだろ?私にうつったら元も子もない。診なくてもいいんだぞ」 父「うう…」 猫猫「(よかったな、手を出してたら関節外されてたぞ。さて、この子の症状は…手の先に冷たく変色してる。凍傷のようだが、この寒さ程度ではならないだろう。それに麻痺している?瞳孔が開いて、時々けいれんと奇声…)」 娘「ねぇ父ちゃん!朝より悪くなってる…どうすんの父ちゃん!母ちゃんみたいになっちまう」 父「そんな…頼む。こいつらを助けてやってくれ。これ以上家族が減るのは困るんだ」 猫猫「(困るねぇ…) 母親も同じように死んだのか 」 父「いや、あいつは流産が原因で…」 猫猫「流産…何か食べさせたか」 娘「粥を少し…」 猫猫(ほとんど米は入ってない…けど) おい、これは何を入れた?」 娘「あ…少しでも量を増やそうと思って」 猫猫「これは違う。他に何かないのか。妹のためにも答えろ」 娘「…これ」 父「…なんだこれは」 娘「妹がもらった。食うものがない時に少しずつ食べようって。母ちゃんが父ちゃんに内緒だって」 父「なんで隠した!?俺は家長だぞ」 娘「だって父ちゃん、働きもしないで博打してたから!私たちに物乞いさせて、それを元手にして」 猫猫「これも食べさせたか」 娘「うん」 猫猫「(甘い。砂糖の甘さだ。施しとしてあげるには贅沢すぎる) これ、いつ誰からもらった?」 娘「わかんない。妹は喋れないんだ。母ちゃんが死ぬ前だから、ひと月前くらい?」 猫猫「これをもらった人は他にいる?それか、この子と同じような症状の出た人」 娘「それなら裏のじいさんが」 猫猫「分かった」 父「おい、どうする気だ!」 猫猫「連れて帰る。こんな臭いところにいたら治るものも治らない。それから、その焼き菓子は捨てろ。そいつが原因だ」 右叫「猫猫、俺が運ぼう」 猫猫「頼む」 右叫「裏のじいさんは指が腐り落ちてた。最初はとぼけてたが、小銭を渡したら話してくれたよ。菓子は女がくれたらしいが、顔は見ていないそうだ」 猫猫「(女…どうも臭い話だ) ありがとう右叫。これ、お礼…」 右叫「いらんよ。子守りは慣れてる」 『猫猫の家』 趙迂「おかえりー…って、うわっ!なんだよそいつ!ばっちいな!」 猫猫「そう思うなら湯を沸かせ。あと、この銭で婆から白米もらってこい」 趙迂「白米!?いく!なーそいつ、どうして手足の先が変な色なんだ?」 猫猫「焼き菓子のせいだ。焼き菓子と言うが…その材料だな。その棚にもあるよ」 猫猫「麦角(ばっかく)。堕胎剤にも使われる薬であり、毒でもある。粗悪な麦に含まれる毒で少量でも中毒症状が出る。手足の血行が悪くなり、最悪壊死する。身体が麻痺し、幻覚を見ることもある」 趙迂「治んのか、それ」 猫猫「その毒を摂らなきゃいい。あとは適度に動くこと。あの子は衰弱しきってたから連れてきただけ。あの親父じゃろくに面倒もみないだろ (一応、証文は書いたけど、あの男がまともに稼いでくるとは思えない。なんだかんだ、お荷物を運びこんだな)」 『数日後』 猫猫「あの時の…なんだ、金持って来たのか?」 娘「妹は?」 猫猫「いるよ、ほら。もう歩けるとこまで回復した。金は?…って親父が来ない時点で分かってるけど…金がなきゃ別にいい。あれを売り払えばいいことだ。今から仕込めば間に合うだろ」 娘「…あたしの方が高く売れますよ」 猫猫「(お?泣き落としにくるかと思ったら) 自分が代わりになろうってのか?意味わかってんのか」 娘「分かってる。このままだとずっと物乞いのままだ。そのうち夜鷹の真似もさせられる。毎日腹空かせて少ない稼ぎも父ちゃんに取られて…それなら最初から女郎になった方がましだ!」 猫猫「(最初から緑青館に口を利いてもらうために来たのか)…自分にそれだけの価値があると?」 娘「妹だって似たようなもんだろ!喋れないんだぞ!」 猫猫「妹の方が若いから覚えが早いだろ。それに無口なのが好みの御仁も…」 姉「それでも!抜け出さなきゃ、この泥沼で一生終えちまう。そんなのあたしは絶対いやだ!」 猫猫「(どこにでもある話だ。泥沼の中、もがいてもがいて、もがくほど底へ落ちていく。でも、何もしないより、誰かが助けてくれると甘い願望を抱くより、自分であがくやつの方が好きだ)…緑青館の婆は都一の守銭奴だ。金にならないと思ったら買わないし、買いたたかれるかもしれない。逃げたらあばらの一、二本は覚悟しとけ」 姉「そのくらい…父ちゃんに腕を折られるよりましだ」 猫猫「妹はどうする」 姉「あたしが稼ぐ。そんだけの働きはするよ!」 猫猫「…使えなかったらどちらもどぶねずみだ。まずは井戸で髪からつま先まできれいにしな。虱を付けたままじゃ玄関先で追い出される」 『この先、二人がどうなるかなんて私には分からない。自分で選び、進んだ道。この街で花開くか、泥沼に沈むかは二人しだいだ』 ≫関連記事:最新20巻情報まとめ | |||
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